2008年11月28日

(11)決別に至る経緯、またはパンドラの箱(上)

何度も書いてますが、Coach UniversityとCTIは「同じ年」に創設されました。
それなのに一緒に語られることがない。
更に付け加えるならばICFも同じ年に発足しています。
これはあまりに「不自然」な状態だというのが一貫したわたしの主張です。
それ故にわたしは、両者は最初は一緒にコーチ養成機関の設立を目指した仲間で、しかし何らかの事情により決別した結果だったのではないか?と推察しました。
この推察は確かめられないのか?

そこで、両者の著作から、その決別の理由を探ってみようと思います。
レナード氏の著作は「ポータブル・コーチ」
CTIは「コーチング・バイブル」です。

前回ご紹介したように「ポータブル・コーチ」は金太郎飴のようにどこを切っても成功法則本でした。
コーチなんかどこにも登場しない。
セルフ・コーチングと言うにはあまりに指示的すぎる。
全編を貫くテーマは「現世ご利益」
「結果=利益」という構図を覆い隠すことなく堂々と表明しています。

しかし考えてみれば当たり前なのかもしれませんが、レナード氏の前身はフィナンシャル・プランナー。
クライアントに具体的な利益(富み)をもたらすことが最重要テーマです。
氏はその経験を活かして「コーチング」を編み出したわけですから、利益追求は当然の流れ・・・とも言えるのです。
また、こういう対人援助業を全面的に否定するつもりもありません。

しかしそれならば、現在多くのコーチングに関する書籍やWebサイトで述べられている「コーチングはクライアントの自立を促進する」や「コミュニケーションを豊かにする」や「自分らしく生きるために」など理念はいったいどこから来たのでしょう。
それどころか、利益追求を一切謳ってない書籍や養成機関も少なくありません。

そこで次ぎにCTIの書籍を見てみます。
「コーチング・バイブル」もよると、コーチングの最大の目標は「フルフィルメント」=充足感。
しかも具体的に「クライアントの目標が家族と過ごす時間を大切にする」ことであれば、昇進、賃金アップの打診は、収入は確かに増えるが本来の目標に反するのではないか?と「指摘」すべきだとまで書かれている。

これは、ポータブル・コーチで述べられている思想とあまりに対極的です。

さらにCTIジャパンのWebサイトにおいては「コーアクティブ・コーチングはプロのコーチを育成することを目的として構築された一つの体系」ではあるが、その活用範囲は多岐にわたると書かれています。
たとえば「人材育成」や「関係改善」あるいは「子育てや学校教育における生徒指導」それから「友人や夫婦間のコミュニケーション力の向上」さらには「自分自身を見つめ直すきっかけ」にも役立つとある。
つまり「およそあらゆる人間関係、あらゆる組織の中で活用できる新たなコミュニケーションスタイルであり、基本的な「ヒューマン・スキル」であると語られているのです。

気づかれました?
今、一般的に考えられている「コミュニケーション・スキル」としてのコーチングととても近いのがCTIの思想です。

この違いを一般的には「Coach Universityはビジネス・コーチングに特化、CTIはパーソナル・コーチングに特化」と言い表されています。
コーチング・バイブルにも「コーアクティブ・コーチングはパーソナル・コーチング」とはっきりと書かれています。

「なるほど!だから先駆者グループは仲違いしたのか?」
と考えるのは残念ながら早計です。

もう少し両者の違いを見ていきましょう。

Coach Universityには、具体的な結果を明確に追求する傾向が感じられます。
つまりそれはとてもコンサルティング的なのです。
もっとはっきり述べるなら、個人向けコンサルティングをコーチングと改名しただけ、とも感じられるのです。

Coach Universityと独占契約を結んだコーチ21が監修する「コーチング選集」第一巻「コーチング5つの原則」という書籍があります。
この前文で監修者は「コーチングを学ぶにふさわしい海外の書籍を厳選」と書かれていますので、コーチ21のコーチング論に合致した内容であると考えられます。
更に、コーチ21はCoach Universityと独占契約を結ぶくらいですからCoach Universityのコーチング論と近いと考えられるわけです。
回りくどい説明でしたが、しかるに「コーチング5つの原則」はレナード氏の考えに近い具体的なコーチング論と捉えて間違いはないであろうと言いたいわけです。

となると「コーチング5つの原則」もとても不思議な本です。
「結果が出なければコーチングとは言えない」
「『コーチングは完璧でした。でも結果は伴いませんでした』では、意味がない」など、驚くくらいの実利主義です。

・・・人間形成とか自立や豊かな対人関係はどうなっているのでしょか?

このように焦点を「結果」に当てると、両者の違いがより鮮明になって来ます。

Coach Universityはコンサルティング的であり、実利的結果優先的。
CTIは「全体的」な充足感。結果ではなく人間の成長と自立を目標とする。

しかしこの違いは天地ほどの落差がある。
例えるなら「道場」と「人生相談」くらいの違いです。
同じ「コーチング」という言葉を使ってはいるが!

では両者のコーチングには共通項はまったく存在しないのか?
もちろん、存在します。
そしてその共通項こそが、両者の決別を証明する証拠であると考えられるのです。
posted by Shigeo at 17:45| 【3】コーチングを発明した人々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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