2008年09月22日

(4)イノベーション

さて前回わたしは「コーチング」という画期的なコミュニケーションスキルは戦略的に「コーチ」「コーチング」と命名されたのであって、スポーツのコーチとは一切関係ないとの推察を述べました。
これはとても混乱を招く命名です。
では、どうして「わざわざ」コーチ・コーチングと名付けたのでしょうか?

実は・・・そのヒントというか答えはすでにあるのです。
不思議なことにネットの深部に眠り続け、何故か今はおおっぴらに語られていないだけで。
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以下はコーチ21の代表取締役会長 伊藤守氏のブログからの引用です。
http://www.itoh.com/index.html

2004年12月01日
http://www.itoh.com/2004/12/post_2.html
「「コーチ」という名前はもちろん知っていました。しかし、ビジネスマンに「コーチ」。これを初めて目にしたとき、とても新鮮でした。おそらく、組織のマネジメントに「コーチ」、このネーミングこそがイノベーションであると思います。」

2004年12月02日
http://www.itoh.com/2004/12/2.html
「印象としては、それは、あまりインパクトのあるものではありませんでした。
コーチングは、コミュニケーションをベースとしたスキルです。コミュニケーションそのものに、特に目新しさがあるわけでもなく、コーチング・スキルにも、特に惹かれるものはありませんでした。コーチとしての考え方やあり方にも、特に大きな違いは感じませんでした。」

「最初の「コーチ」と言う名前を聞いたときのインパクト、それから、なぜ、今「コーチ」であり「コーチング」なのかということについて、考えている間に、いくつかのパラダイムシフトがありました。」
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驚くことに、日本でのコーチングの先駆者にして随一のコーチ養成機関の代表である伊藤氏が、コーチングの内容に「インパクトのあるものでは」なかった、「特に目新しさがあるわけでも」なく、「特に惹かれるものでは」なかったと述べているのです。

もちろんこれは今現在のコーチングではなく、氏が初めて接した時代のコーチングに対しての感想です。
ただとにかく初期のそれは、決して画期的ではなかったらしいのです。

・・・それにしても、にわかには信じがたい記述です。

しかしわたしが注目したいのはこの部分ではありません。氏が「コーチ」という言葉に対して抱いた印象こそが重要なのです。
氏は「コーチ」という言葉は「とても新鮮」で「このネーミングこそがイノベーション」だと感じました。更に「コーチ・コーチング」という言葉から「いくつかのパラダイムシフト」の可能性を感じ取ります。

いかがですか?
まさにこのコーチという「言葉の持つ可能性」こそが、このコミュニケーションスキルを「コーチング」と名付けた最大の理由だとは考えられませんか?

つまり、こういうことです。
今まではコーチとはスポーツの世界だけのものだった。
それをビジネスに置き換えただけで、自動的にパラダイムシフトが起動する。
例えば、

<今まで>
上司→部下

<これから>
コーチ(上司)=プロスポーツ選手(部下)

言葉を変えるだけで、組織の歯車に過ぎなかった社員(部下)が、自立した才能あふれる人材に変容してしまうのです。こんな劇的なパラダイムシフトがビジネス界にかつて存在したでしょうか?
指導する・・・からコーチングすると言い換えただけで、組織の人間関係をも大変革してしまうのですから、言葉を重ねて説明する必要がないのです。

伊藤氏は、とても鋭い感性と先見性を兼ね備えた方だと推察します。
「ビジネスにコーチ」という文節を見ただけで、その奥深い可能性にいち早く気づかれ、自身のビジネスプランに取り入れたのですから。

以上、今回は、コーチングはコーチングと名付けることにこそ最大の意味があったこと。
すなわち「ビジネスでコーチ」という文節それ自体が、画期的なイノベーションとパラダイムシフトであったということを明らかにしました。

つまり、結果的に名称独占はできませんでしたが、考えようによっては、これは歴史に残る大発明でもあったのです。

何故か?
当時は一般には適用できないと考えられていたある理論と技法が、ビジネスやコンサルティングに適用できることを証明してしまったからです。

次回からは、コーチングの思想的背景について検証します。
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